層雲峡を出発し、旭川へ。
国道237号を左折し美瑛へ。
冬に来た時は一面の雪景色だった。
その時は列車で巡っていて、私は一面の雪景色を食い入るように見つめていた。
席向かいの高齢女性から
「何をそんなに見つめているのですか?」
と尋ねられた。
地元の方は「見るのも嫌。早くなくなってくれればいいのに」と言われる。
申し訳ないが、九州の者にとって一面の雪景色はそれだけでごちそうなのだ。
・・・その時(冬の車窓風景)の動画です↓↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=An-ouRWpLhk
今回は普通の風景で、冬、車窓から見た踏切やトヨタネッツの店など、思い出をたどりながら快走している。
空は澄み渡り、どこまでも青い。
いよいよ美瑛に到着だ。
適当な交差点を左折し、踏切を越え、道の駅「丘のくら」へ向かう。
そこは、美瑛の駅にほぼ隣接していて、まずは駅前の観光協会「四季の情報館」で観光マップをもらうのだ。いつもそうする。
マップをゲットして、まずは「新栄の丘展望公園」へ向かう。これもいつものこと。
それから、私が尊敬する前田真三氏の写真館へ。
その辺りの風景を散策してからマイルドセブンの丘へ。
駅方向へ戻り、国道を越え、いつものようにマイルドセブンの丘へ。
しかし。
慣れた道だったのに迷子になった。
仕方なくもうひとつのマイルドセブンへ。
次に親子の木へ向かった。台風で(?)子供の木が大変になったと聞いていたが、手をつないでいないだけで3本とも無事だった。よかった。
今日のペンションが近いというので、北西の丘展望公園へ向かった。
低層の展望台へ上がり、周囲を見渡す。
もうすっかり夕暮れ時で、この冷っとした透明感のある感じが、私は大好きだ。
展望台をおりて、ペンションへ向かおうとしたのだが、どうしてもマイルドセブンが気になった。いつも通りの道を行ったのに、気づかないはずはない。そう思って、もう一度行ってみてもいいか友人に尋ねたが、彼は気乗りしないようだった。そんなに遠くではないから、友人には申し訳ないが一人で行ってみることにした。
そして発見した。
残念な事実を。
あれだけ上品でうつくしかった木立は、もう、ないのだ。
後で知ったが、老木となり危険もあったため伐採されたとのこと。
あれほど有名な木立を伐採されるのは、持ち主さんも断腸の思いであったろうから、これは仕方のないことだ。
むしろ今までありがとうと言いたい。
9回目の北海道だが、そのうち7回はここに来た。
いくつもの思い出とともに、あの姿は私の写真に残しておくことにしよう。
さて、北西の丘に戻ってみると、友人の姿がなかった。
しかたがないので、しばらく待つことにした。
ペンションの位置を探しにいったらしい。
やがて戻ってきた友人とともにチェックイン。
おしゃれなペンションで、二部屋ご提供いただいた。
おかげで一部屋は荷物入れ、ベッドのある方は寝室とした。
我々の他、その日はもう1名の宿泊客があった。
中部地方からきた笑顔のかわいい女の子だ。
別々だった夕食の席を一緒の席へ変更し、オーナーさんも一緒になって楽しいひとときだった。
翌日。
女の子を見送ったあと、我々も今日の予定地へ出発した。
ペンションには2泊の予定だったから、大道具を載せていないスカブは嘘みたいに軽かった。
先ずはケンメリの木。続いてセブンスターの木。それからパッチワークの丘巡り。
それから青い池へ向かう。
ここの駐車場もすっかり様変わりしていて、昔のジャリ駐の横に立派な駐車場と観光施設ができていた。
ここは以前のまま、スノコをひいた脱衣場があるだけの野趣あふれる温泉だ。
湯温が高く、友人は入らなかった。
湯舟で一緒になった地元の人に聞いたのだが、北の国からのロケはやっぱりこの断崖そのまんまでロケしたそうだ。また地元の牛乳を湯舟に投入し、あの名場面を作ったらしい。
それから、熱い湯につかる秘策を授かった。
足の裏には車のラジェターのような冷却担当の毛細血管があるから、熱い湯には足をあげて入ればいいよとのこと。
なるほどと合点がいった。
私が趣味で書いている小説「あの暑い夏の陽に」(エブリスタに掲載中。神瀬尋行で検索してみてください)で和琴半島の温泉が熱くて入れなかった時のことを書いたが、その元となった経験も、やはり足をあげてお尻から入れば大丈夫というものだった。なるほどちゃんとした理屈があったんだ。
次に、富良野へ降りて「拾ってきた家」を見物することにした。
富良野は明日の予定なのでかぶるものの、ちょっと時間があったので、1ヶ所だけ行くことにした。
ここは有料施設なので、申し訳ないが無職の私は遠くから見るだけ。
申し訳程度に缶コーヒーを買って一服しただけだった。
ペンションへの帰り道、友人がカレーラーメン食べたいという。
北海道では以前スープカレーが流行し、今はカレーラーメンだという。
スマホでお店を見つけ、暮れゆく大雪山系の山並みを眺めながら道道298を美瑛方向へ走った。
ひとつ提案。
地元の方がうまいというならそれは大切なことだが、我々旅行者目線では北海道でカレーとは、実はちょっと違和感がある。カレーは南方の食べ物というイメージがあるから。ちなみに、鹿児島の岩崎ホテルグループが経営するレストランのカレーうどんは特産のカツオぶしの効いた出汁でうまい。そこで、北海道なら、あんなにおいしい牛乳と高級な羅臼昆布があるのだから、羅臼昆布出汁の効いた「クリームシチューうどん」なんてどうだろう?誰か開発してくれないかなあ。なんて友人に話したら「ふ~ん」という興味のない返事。
しかし、冬に宿泊した札幌の法華クラブの朝食で出た「クリームシチュー」「牛乳」「にしんそば」は最高にうまかった。あんなシチューに醤油ベース羅臼昆布の旨味の効いた出汁の「クリームシチューうどん」ていいと思うけどなあ・・・
それはそれとして、カレーラーメンを食べてペンションに戻る。
そこにはもう、あの笑顔のかわいい女の子は当然ながらいないので、「ちょっと寂しいね」と言うと、これには友人も激しく同意した。
-その7(札幌編)へ続く-