今回は、ちょっと辛口で失礼します。
なんという恥ずかしい失敗でしょうか。
新型エンジンはちょろっと火を吐き、固体ブースターは沈黙のまま打ち上がらず、時間ばかりが過ぎていきました。
公式には打ち上げ前の中止だから失敗ではないと強弁していますが、素人的には失敗に見えます。
確かに本体は残っていますから、技術的には失敗ではないと思いますが、トータルでの運用というの意味では失敗だと思います。
技術者全員の耳目が新型エンジンの過去の不具合である振動等にとらわれすぎていませんでしたか?
固体ブースターは先日イプシロンが失敗したにも関わらず、枯れた技術だからとなめていませんでしたか?
私の座右の書であるスラムダンクのセリフに例えるなら、
「ボールがあるところに集まる単なる素人の習性」
のような気がします。
私は今日の打ち上げ時間に市街地を車で走っていました。どうしてもライブ配信が見たくて必要もないのにわざわざ駐車場に停めてスマホで視聴しました。JAXA公式はつながらず、鹿児島のローカル局の配信を見ていました。
何が起こったのか分からず、あっけにとられたのは私だけではないはずです。どれほど多くの方が今回の打ち上げを楽しみにしていたか・・・
新型エンジンは、誰もやったことのない画期的なエンジンだと聞いています。
先達が居ない訳ですから、いろいろとあるでしょう。
ですから、もっと真摯に、冷静に、広い視野でトータルに計画・チェック・運用する必要があったように感じます。
ボール(新型エンジンの先日の不具合箇所)のあるところだけに意識の大部分が行っていませんでしたか?
効率性、定時性を意識するあまり、信頼性の見落としはありませんでしたか?
今回を失敗ということの意味はまさにそこ。
トータルでのマネジメントの失敗ではないでしょうか。
そもそも今回は初号機なのに、衛星積んで即本番とか、今年度中とか、いろんな自縄自縛を詰め込み過ぎです。ニーズとシーズの問題は、初号機に限りシーズ優先であるべきだったろうと思います。
LE-9はスジの良くないエンジンとネットで言う方もいます。
それはどうかは私は分かりません。しかし初めての場合、何かともぐら叩きのように不具合が出るものだと思います。
ちょっと慎重に、初号機は新型エンジンだけで、ダミー衛星を載せただけの状態で打ち上げてもよかったような気がします。衛星の経年劣化(バッテリー含む)や何度も点火した本体の金属疲労も気になりますから。
効率性とか、税金とか、世論とか、驕り、焦りとか純粋に技術外の思惑が絡まって一足飛びにやったことが今回の結果となったように思います。
膨大な予算もかかるため、ひとつひとつを丁寧に積み上げる時代ではないかもしれません。
でもそれは、多くの雇われ経営者が目先の利益を優先するあまりジョーの悲劇に陥り、コストカットを優先することで結果的に会社の体力や飛躍力を奪い、ひいては日本国の衰退を招いている現在の社会の姿に重なって見えます。
日本のお家芸はコツコツです。
ペンシルロケットから小さな努力を積み重ねてこられた技術者としての矜持・原点を忘れないでください。
関係者の皆さん、失敗してもOKです!
ぜひそれを乗り越えていって欲しいと、いち納税者としては思います。
頑張ってください。
では、また。