祖母が枕元に立ちました。
その日は月命日でした。
にこにこしながら
桃がたべたい
と言いました。
母子家庭だった私は小さい頃祖母にそだてられたようなものでした。
はたと目を覚ました私は、暑い夏のさなか、おいしそうに桃を食べるばあちゃんの姿を思い出しました。
「桃の季節って、今だっけ?う~ん、確かに暑い季節だったような・・・」
そう思うと、桃を買いに行くことにしました。
どうせ買うならスーパーではなく、めちゃくちゃうまい桃がいい!
たしか先日ツーリングで阿蘇方面に行った時、休憩に立ち寄った店でいい香りをおしげもなく放つ桃を売っていました。
ならば、道の駅に行けばあれと同じようなうまい桃があるかも・・・
そう思い、近くの道の駅へ行くと、案の定売っていましたが、なんと2玉800円!(税別)
丸々と肥えて、うまそうな香りではありますが、底辺暮らし・エンゲル100%の私には手痛い出費です。
しかし、珍しく枕元に立ってまで食べたいというばあちゃんのためと思い、清水の舞台から飛び降りました。
で、帰って早速お供えしました。
その夜の事・・・
不思議な話です。
一日中密室となっていたはずのトイレに・・・
なんと、クワガタがいたのです。
窓も扉も完全に閉じていたのに、一体どこから・・・
小さい頃ならよろこんで捕まえて飼育するところですが、この年になると面倒なのでとっ捕まえて放り出しました。
後になって思うに、桃のお礼に私が喜びそうなクワガタをばあちゃんがくれたのかもしれないなぁ・・・
ばあちゃんにとっては、いつまでも小さい頃の私のまんまなんだろうなぁ。
何となく嬉しくはありました。
では、また。